「ゆる起業」のすすめ。自分らしいビジネスの始め方

趣味や特技を活かして、無理なく起業する方法とは?中小企業診断士の小林理恵が、スモールスタートで始める「ゆる起業」の実践ガイドをお届けします。

「ゆる起業」のすすめ。自分らしいビジネスの始め方

会社員でも取り入れられる「ゆる起業」のすすめ

【ライター:小林 理恵(中小企業診断士・2児の母)】

「このまま会社員だけで終わりたくない」

40歳の誕生日に、ふとそう思いました。

2人の子どもを育てながら、15年間経理として働いてきた私。安定はしてるけど、何かが物足りない。でも、会社を辞めて起業なんて怖すぎる。貯金もローンもあるし、子どもの教育費も...

そんな時、先輩が「ゆる起業」という言葉を教えてくれました。会社員を続けながら、小さく始める起業。

3年経った今、会社員として働きながら、月15万円の副収入を得ています。中小企業診断士として、同じ悩みを持つ女性たちの相談に乗りながら、私自身の経験をお話ししています。

なぜ「ゆる起業」から始めたのか

会社を辞めなくて本当によかった

最初は「起業=会社を辞める」だと思ってました。でも、それって怖すぎませんか?

私の場合、住宅ローンが月12万円、子どもの塾代が月3万円。会社を辞めたら、この固定費どうするの?って。

でも「ゆる起業」なら、会社の給料は確保したまま、プラスアルファを狙える。失敗しても生活は守られる。この安心感、めちゃくちゃ大事です。

実際にやってみて分かったのは、会社員経験って武器になるってこと。

15年間経理やってきたから、中小企業の社長さんの悩みが手に取るように分かる。「決算書の見方が分からない」「資金繰りが不安」って。

それに、会社員だから焦って仕事を取る必要がない。「この値段じゃないと受けません」って言える強さがある。結果的に、時給5,000円でも「お願いします」って言われるようになりました。

最初の一歩は、めちゃくちゃ小さかった

友達のカフェの帳簿整理から始まった

「理恵ちゃん、経理できるよね?」

高校時代の友人がカフェを始めて、帳簿がぐちゃぐちゃになってるって相談されました。土曜の午後、カフェで3時間かけて整理。お礼に5,000円もらって「これ、仕事になるかも」って思ったのが始まり。

その後、友人の紹介で個人事業主の確定申告を手伝ったり、小さな会社の月次決算をチェックしたり。気づいたら月3万円くらい稼げるようになってました。

10万円ドブに捨てた失敗談

調子に乗って、かっこいいホームページ作ったんです。10万円かけて。

結果?問い合わせゼロ(笑)。

分かったのは、起業初期にホームページなんて要らないってこと。必要なのは実績と口コミだけ。今でもホームページないけど、仕事は途切れません。

転機は商工会議所のセミナー講師。「経理の基本」を話したら、10人中3人から個別相談の申し込みが。しかも「1時間5,000円でお願いします」って向こうから言われて、びっくりしました。

今の収入源、全部お見せします

現在の月収15万円の内訳:

  1. 土曜午前のカフェ相談(月3万円)
    近所のカフェで経理相談。コーヒー飲みながらだと、みんなリラックスして話してくれる。
  2. 平日夜のZoom相談(月8万円)
    子どもが寝た後、21時から1時間。月額1万円で8人の社長さんをサポート。パジャマの上にカーディガン羽織って(下は見えないから)。
  3. セミナー講師(月4万円)
    2ヶ月に1回、商工会議所で講師。緊張するけど、終わった後の達成感がたまらない。

初期投資、たったの1万円でした

本当に必要だったもの

名刺(ラクスルで3,000円)
Zoom有料版(月2,000円)
Googleカレンダー(無料)
freee(月980円)

これだけ。

最初は「ちゃんとした事務所借りなきゃ」とか思ってたけど、全然要らなかった。カフェとZoomで十分。むしろ「事務所ないんですか?」って聞かれたことない。

月3,660円の投資で、月15万円稼げるようになった。投資対効果、えげつないでしょ?

会社にバレるのが怖かった話

一番心配だったのが、会社にバレること。

でも調べたら、うちの会社は副業OKでした。ただし、事前申請が必要でした。

上司に相談する時は緊張しましたが、「経理スキルが向上して本業にもプラスになります」と伝えたら、あっさり承認してもらえました。むしろ「頑張って」と応援してもらえて、想像していたよりもスムーズでした。

ポイントは、本業と競合しないこと。私の場合、会社は製造業、副業は個人事業主相手だから問題なし。

家族との時間、むしろ増えました

「ママ、また仕事?」って言われたくなかったから、ルールを決めました。

平日は子どもが寝てから1時間だけ。
土曜の午前中は仕事OK、午後は家族時間。
日曜は完全オフ。

意外だったのは、副業始めてから本業の残業が減ったこと。「19時には絶対帰る」って決めたら、仕事の効率が上がったんです。

副業収入の半分は家族旅行貯金に。去年は沖縄に行けました。「ママの副業のおかげ」って子どもが喜んでくれて、それが一番嬉しかった。

まとめ:一歩踏み出せば、見える景色が変わる

「ゆる起業」を始めて3年。

月15万円の副収入はもちろん嬉しいけど、それ以上に「自分の力で稼げる」という自信が財産になりました。

会社に依存しない生き方。
自分のスキルを活かせる喜び。
誰かの役に立てる充実感。

40歳からでも、いや40歳だからこそできることがある。

今、この記事を読んでいるあなたも、きっと何か特別なスキルを持っているはず。それを小さく、ゆるく始めてみませんか?

最初の一歩は、本当に小さくていいんです。

小林 理恵

38歳。中小企業診断士、起業コンサルタント。女性起業家の支援経験豊富。ゆる起業の実践的なノウハウを伝える。